事実は小説よりも樹なり・ハワイ編12
ホノルルで新年を迎える (2003'01'13)




初詣で賑わうハワイ出雲大社。
今回はハワイで迎えた新年の話。

 ホノルルで新年を迎える。そんな芸能人のような体験をした。日本以外で、それも東京以外で年を越すのは初めてのことである。聞いたところによると、ワイキキでは花火が上がるらしい。そればかりか、一般の家庭でも大晦日には派手に花火や爆竹を鳴らしてお祝いするという。スーパーのクリスマス用品を並べていたコーナーも、25日を過ぎると、花火や爆竹のコーナーに様変わりした。それを、ハワイの人は大きな箱ごと買い物カゴに放り投げる。

 大晦日の夜、ぼくも花火を箱ごと買って、友達のアパートへと向かった。皆で年越しそばを食べる約束をしていたのだ。沖縄出身の友達だったため、年越しそばも「沖縄そば」を作る予定だったのだが、あいにく売り切れだったため、うどんで代用した。年越しうどんも中々にオツなものである。どちらにせよ、日本の食材が簡単に手に入るハワイならではのこと。アメリカでも、他の地域だったらこう簡単にはいかなかったかもしれない。それにしても、普通のスーパーで鏡餅や門松が売られているのには、さすがにびっくりした。今年の干支、羊の置物なんかまで発見。

 年越しうどんを食べた後、皆でワイキキへ向かう。多くの家で花火をしていて、心なしか街が煙で充満している。ワイキキビーチに着いた時には、既に新年5分前。ビーチは歩くのが困難なほど多くの人でごった返していて、誰もが座って花火が打ち上げられるのを待っていた。その風景は何だか日本の花火大会のよう。自分たちがやっと座る場所を確保した途端、カウントダウンも無しに花火が上がりはじめた。時計を見たら、どうやら既に新年を迎えたらしい。皆で、Happy New Yearと声を掛け合い、訳もなく波打ち際を走り回った。こんな新年の迎え方は初めてである。

 元旦の朝には初詣に行った。何とハワイには日本の寺社もいくつか存在するのである。ぼくらが行ったのは、その名も「ハワイ出雲大社」。神主の免許を持つ友人がボランティアをしているということもあって行ったのだが、中々に立派な神社で人が絶えることなくお参りに訪れていた。友人曰く、三が日で一万人は参拝に来るという。手を清める手水鉢の横にペーパータオルが用意されていて、そのあたりはやはりアメリカという感じがした。五円玉の代わりに、25セントコインを投げてお参り。その後、サービスの御神酒とキャンディーを頂いた。キャンディーまでサービスされるところが、これまたアメリカという感じである。

 初詣を終え、友達と別れた後、1人でワイキキ・ビーチへ行ってみた。海を見ながら、コンビニで買ったお弁当をぱくつく。ビーチは元旦だというのに、多くの日本人、欧米人観光客で賑わっていた。晴れ渡った新年の空、照りつける太陽が眩しかった。