事実は小説よりも樹なり・ハワイ編5
ハワイで初めて芝居を観る (2002'11'18)




今回の写真は、ワイキキビーチ。
高層コンドミニアムやホテルのすぐ横に面してるので、
ビーチから街を見ると、こーんな感じ。

 ここハワイ大学マノア校には、演劇用に特化された専用の劇場がある。大型の大劇場と、こじんまりとした小劇場からなる「ケネディー・シアター」だ。年間を通じ、様々な演劇が行われ、ハワイ大学の学生は、本来$10ほどの各公演を、たったの$3で観ることができる。

 9月に、小劇場のほうで今年度初の公演が行われるというので足を運んでみた。演目は、「Fine Dancing」。パンフレットによると、タヒチアン・ダンスの魔法と癒しの力についてのダンス・ドラマだそうだ。

 劇場に入ると、中央にステージ、そしてそれを取り囲む形で150席ほどの客席。一角ではポリネシアンの生バンドが既に演奏を始めており、その演奏に合わせてフラダンサーが柔らかい動きで踊っている。劇場に入った観客に、小さな男の子と女の子が白い花を配っていた。花の香りを感じながら、開演を待つ。

 公演は、ダンスが主体のショーのようなものを想像していたのだが、むしろ演劇に近かった。ストーリーもしっかりしていて、俳優の演技も悪くない。全体的に若い俳優がほとんどだったのだが、その中で1人、物語のキーとなる月の神を演じる女優が、どっしりとしたベテランといった感じで、彼女の存在により更に全体の底上げがされているようだった。

 そして、何よりそのところどころに織り交ざるダンス。素晴らしかった。自分もあんな風に踊りたい、自分の体を自由自在に使えるようになりたい。そう思った。来学期はダンスの授業に挑戦するのも良いかもしれない。ダンスは、人間にとって欠かせないものに違いない。世界の文化、民俗で、文字を持たずに生活している人々はいても、歌と踊りを持たない民俗は存在しないように。

 終演後の拍手では、初めてスタンディング・オべーションを目の当たりにした。一部の観客は出演者に入り混じって、一緒に踊り出している。その気持ち、よく分かる。良い芝居や映画の特徴は、観ている時に時間とお尻の痛さを感じさせないこと。今回は、まさにそういった感じで、2時間はあっという間に過ぎていた。心をおどらせて劇場を後にした。