事実は小説よりも樹なり・ハワイ編39
ハワイで英語は上達するのか? (2003'07'25)



ハワイで英語は上達するのか?
英語補習授業で撮った集合写真。
学生20名中、日本人18名という多さ

 このページで、いかにハワイが素晴らしいかについて、長々と紹介してきた。気候、人々、食事、文化、勉強、遊び、どれをとっても、ハワイに留学をして本当に良かったと思っているし、日本に帰ってきた今は、ハワイが恋しくてたまらない。テレビでハワイのことが映る度に、やっぱりハワイは最高だなーと、戻りたくなって仕様がなくなる。しかし、そんなハワイに留学するなら、唯一気をつけなくてはならないことがある。それが、英語だ。

 ワイキキは日本人観光客であふれ、どこでも日本語が通じる。もちろん、ハワイもワイキキを一歩出れば、英語の社会ではあるのだが、日系人や日系移民が多く住んでいることも有り、彼らを対象にした日本語のテレビやラジオ、新聞といったものも多く存在する。実際に、このホームページで文章を書く際にも、これらのメディアには情報収集で大変お世話になった。日本でやっているテレビも、地上波にケーブルテレビの2局、それにレンタル・ビデオ屋などの利用によって、全てリアルタイムで追いついていくことが出来る。

 また、街や大学内を歩けば、観光客や日系移民、留学生など、必ず日本人を見かけるので、日本人の友達も自然と多くなる。結果、友達とおしゃべりする時も日本語で、ということが多くなってくるのだ。

 このような環境だと、24時間英語漬けの毎日ということもない。むしろ、24時間日本語漬けということだって考えられる。もし、英語力を上達させたいなら、やはり英語しか使わない環境に身をおいたほうが良いほうに決まっている。しかし、ぼくの場合、英語の新聞やテレビ、インターネットだと、ニュースを詳細まで把握出来ないため、いつも日本語に頼ってしまっていた。情報の正確さや知識を取るか、それとも知識は乏しくなるが語学への慣れを取るか。難しい問題だ。

 またぼくの場合、ハワイへは語学留学で行ったわけではなく、自分のやりたい勉強を行うためであった。その意味で、交換留学生や正規留学生は、留学以前に英語力が一定以上、具体的には授業で曲がりなりにも付いていけるだけの力が、前提として求められる。あとは、英語の補習授業と、実際に出席して、何とか要領をつかんでやっていけという訳だ。実際に、ハワイ大学では、ぼくのような日本人学生がいっぱいいる。

 しかし、前述したように、24時間英語漬けという訳でもない分、英語の上達はどうしたって遅くなる。もちろん、英語が分からなければ、米国の大学で授業を受講し、成績を取ることなど不可能ではあるが、英語をネイティブ・スピーカー並みに使えるというレベルへは、まだまだである。日本に帰って来て、最も良く聞かれる質問の1つに、「ハワイで英語喋れるようになった?」というものがあるが、答えは、YesとNoの両方だ。自分の言いたいことは、曲りなりにも何でも伝えられるし、日常の会話で困ることは殆ど無くなったが、映画やテレビなどで見る、ネイティブ・スピーカー同士の会話などは、相変わらず良く分からないことが多い。また、学術的な文章や、ビジネス文書などは、語彙力の欠如ゆえ、時間がかかる上、曖昧にしか理解できない。

 だから、研究内容の勉強のためハワイに留学するのは意義深いと思うが、単純に語学留学の場合は、ハワイは正直あまりお薦めできない。ハワイ独特の、「ピジン・イングリッシュ」と言われる訛りの問題もある。もちろん、ハワイが好きで、ハワイを楽しむのも目的だという、「ハワイ楽しみたい型」なら、全く問題はない。高齢者が、老後に英語の勉強をという場合も、温暖で日本食の豊富なハワイは適しているといえる。しかし、これからのキャリア・アップのため、英語の上達が目的だという「英語第一優先型」なら、やっぱりハワイ以外の場所のほうが良いと思う。

 最後に。ぼくの友人では、留学経験もないのに、TOEIC900点以上を取っている人もいる。このように、本当に英語の勉強をしようと思ったら、日本でもかなりのことが出来るはずだ。最終的には、英語の上達は勉強をする場所の問題ではなく、本人の心がけと努力次第であろう。その意味では、ハワイでぐんぐん上達する人もいる。え、ぼく?掲示板にも書いたように、先日、あろうことか二日酔いで英検準1級の2次試験を欠席。これでは、ネイティブ・レベルの英検1級も、まだまだ遠いようである。