事実は小説よりも樹なり・ハワイ編29
授業終了と、ハワイの自然環境 (2003'05'12)




寮のベランダから見える、ホノルルの高層ビル群と
どこまでも続く大きな大きな空の夕焼け

 先日7日をもって、ハワイ大学春学期の授業が終了した。あとは、今週16日にある期末試験1つを残すのみである。今学期は、先学期と比べて、あっという間に終わっていった気がする。何もかも初めての経験で、戸惑うことの多かった先学期よりも、授業に生活に慣れ、自分の生活をコントロール出来るようになったからだと思う。

 いきなり話はそれるが、ぼくの通っていた小学校には「リトミック」という授業があった。「リトミック」とは、リズム感覚を育てる音楽教育のことなのであるが、ぼくはこの授業が苦手だった。他にも、体育や音楽なども苦手で、そのため1週間のうちに、超えなくてはいけない山がいくつもある気がした。時間が経つのは、やたら遅く感じたものだった。

 中学に入ってからは、その当時通っていた英語と数学の塾の授業に全く付いていけず、そのため、やはり1週間を長く感じていた。その塾では、膨大な量の宿題が出たのだが、宿題をやっていかない→授業中付いていけない→もはや、宿題をやろうとしても解くことが出来ない、という悪循環に陥っていた。英語を普段使っている今になっても、宿題をやらずにその塾へ行き、まいったな、これじゃ復習テスト0点だぞ…と困っている夢を見ることもあるくらいだ。

 高校を卒業してからは、自分のやりたいことだけを選択できたので、時間が経つのは加速度的に速くなっていった。予備校時代など、つい先日のように感じるのだが、5年も前のことなのだ。高校を卒業して6年目の今を小学6年生だと仮定すると、予備校に通っていたのは小学1年生の時のこととなる。とても、同じ時間の流れだとは思えない。

 話をハワイ大学に戻そう。先学期受講した授業は、いわば中学の時に通っていた塾のようで、文献を読んでいかなくてはいけないものの、読んでも意味が分からない。そのため、ただでさえ英語で分からない授業に、ますます付いていけないといった感じだった。先学期が終わった際には、自分はハワイへ来て何をやったんだろう…?と感傷的にもなったが、それと比べ今学期は変わったなあと思う。どの授業も、それなりにちゃんと付いていくことが出来たからだ。たまに分からないものがあっても、何とかして対処することも覚えた。英語力が伸びたから、という訳ではない。そうではなく、こちらでの生活、授業に慣れたということなのだと思う。

 さて、ハワイでの生活について、留学を終える前にもう少し紹介しようと思うのだが、授業のことは以前にも書いたのでこのくらいにして、今回は自然環境のことについて触れようと思う。

 まずは、海。ぼくにとって、こんなに海のすぐそば(ワイキキ・ビーチから自転車で20分程)に住んだのは、初めてのことであった。思い立ったら、いつでも行ける。最近は授業も終わったこともあり、毎日のように足を運んでいる。また、ハワイと言ったら海ばかりが強調されがちだが、山も忘れてはならない。海岸の反対側を見れば、いつだって山が連なっているのが見える。部屋の机の窓からも、大学の建物越しに山が見える。東京という関東平野で育ったぼくにとって、こうやっていつでも山の見える風景というのは、新鮮でとても良かった。一方、ハワイの中でもホノルルは高層ビル群の都会でもある。観光客が多く滞在するワイキキから、ビジネス街であるダウンタウンまで、都会的な高層ビルが長く連なっている。ハワイを南国のリゾート地だと思って訪れた人は、その都会的な姿に驚くかもしれない。これらの高層ビルの夜景は、正に絶景である。

 最後に、地平線と水平線と空について。ハワイでは道が広いこともあって(普通の道でも4車線、6車線は当たり前)、歩いていも地平線まで見渡せる時が多い。もちろん海へ行けば水平線となる。また、寮の部屋が7階ということもあり、ベランダからはダイアモンド・ヘッドやホノルルのビル群を望み見ることが出来る。そして、それら地平線・水平線の向こうには、どこまでも続く大きな大きな空が広がっているのだ。雲の表情は毎日変わり、虹も頻繁に至る所で目にすることが出来る。東京の実家の周りは、道が狭く車がすれ違うのにも一苦労で、建て込んだ建物により、空は四角く切り取られている。そんな風景はあんまり好きじゃない。この、地平線・水平線に続く大きな空こそが、ぼくがハワイや沖縄に強く魅かれる一番の理由なんだと思う。