事実は小説よりも樹なり
SPACE COWBOY (00'11'27)



 夏のアメリカでの語学研修から帰ってきて3ヶ月以上が経つ。日本での学生生活もいろいろ忙しいが、そんな毎日の中で、ふとした事がきっかけでアメリカのことを思い出すことがある。例えば、1ヶ月ほど前「スペース・カウボーイ」というクリント・イーストウッドの主演の映画が封切られた。その広告を見ながら、ぼくはアメリカのホストファミリーのことを思い出した。

 一晩だけのホームステイということもあってホストファーザーのリチャードは色々なところに連れて行ってくれた。メキシコ料理屋でのディナーを終え帰宅し、これで今日はもうオヤスミかなと思いきや、これから映画に行こうと彼は言う。そして観にいったのが「スペース・カウボーイ」だったのだ。一日街をまわり疲れていたことに加え、当たり前だが字幕なしのため、英語を聞き取ろう聞き取ろうと極度に集中した結果、ぼくは「ごめんよ、リチャード!」と頭の中で詫びながら彼に分からないように目を閉じた。 

 観ていたところまでのストーリーは、緊急任務のため、還暦を過ぎた元空軍兵クリント・イーストウッド達4人がスペースシャトルに乗ることになり訓練を始めるが・・・・、といった感じであるが、目が覚めたらすでに彼らは任務を無事終了し、観客は感動の渦の中、映画はちょうど終わるところであった。

 その時、時刻は12時過ぎ。10時ごろに最終回が終わってしまう日本の映画館との違いは、やはりアメリカが車社会だからという訳であろう。そういえば、同じ車社会の沖縄でもお店は深夜まで営業している。ぼくは帰宅が夜遅くなるほうなので、東京でもお店の営業時間を延長してほしいと思うが。と、これは雑談。

 もちろん、映画が終わった後のホストマザーの「内容は理解できた?」という質問には「細かいところは分からなかったけど、大体ね!」とお茶を濁しておいた訳である。

 さて、同じように、11月18日付の朝日新聞朝刊の記事で思い出したことがあった。

 アメリカでの3週間半の滞在では、期間の間だけ寮の部屋に電話が支給された。かけるだけでなく、家族などからの電話を受けられるようにである。 ある朝、授業に行こうと思ったら電話が鳴った。かけてくるのは、電話番号を教えた人に限っているわけだから、誰だろうと思って電話に出たらいきなり英語でまくしたてられたのだ。

 よくよく話を聞くと、国際電話のプロバイダの勧誘らしい。その場は、急いでいるからまたかけ直してくれと言って切った。が、考えてみると、どっちみち3週間半しかいないわけだから契約する必要もない。第一、このテレフォンアポインターは、こっちが短期留学生の部屋だと知ってかけているのだろうか?普通、そうと知っていれば勧誘しないはずである。

 では、どうしてぼくの部屋にその電話がかかってきたのであろうか?思い当たることはただひとつ。数日前に、国際電話で長電話したということである。恐らく、国際電話をかけた人の電話番号をどこからか入手して、勧誘しているんだろうな思った。

 そして、11月18日の朝日新聞の記事。

 「KDD, 利用情報漏えい 中国語紙勧誘など、代理店が流用。
国際・長距離電話の旧KDD(現KDDI)が、国際電話を利用した人たちの電話番号などの個人情報を代理店に漏らし、その情報が、代理店発行の新聞や代理店の子会社が経営するケーブルテレビ加入の勧誘などの別の業務に流用されていたことが17日、関係者の話などでわかった。」

 どうやら、朝日新聞に載っていたことは、アメリカでも同じことが行われていたようである。