事実は小説よりも樹なり 1999
DIARY('99.6'〜'99.11)


 
6月★やりたいこと
 大学生は時間があると思われているようです。文系の学生の場合、確かにその通りかな、と思います。学生なので働くわけじゃない。一方、大学の授業も実はあまり行かなくても大丈夫。では、ぼくもそうかというと、そうでもないです。忙しいです。やりたいことが、山ほどあるからです。
 英語・スペイン語・中国語・法律・パソコン・読書・映画・演劇・留学・アルバイト・空手・自動車免許・バイク免許・旅・サーフィン・TOEFL・英検・飲み会etc…
 やりたいことが山ほどあるのはいいことなんですが、問題はこの中から何を最優先すべきかということです。困ってしまった大学に入ったばかりのぼくは、仕方がないので、全部かたっぱしからやっていくことにしました。でも、その結果、すべてに時間をあまりかけれず中途半端にしか出来なくなりました。ぼくは、ほとほと困りました。何故なら、そうだからといって、1度はじめたものを途中でやめるのは悔しくていやだったからです。
 そんな時読んだ「新鐘(早稲田の学園誌)」に、田中眞紀子さんが書いていた言葉に目が止まりました。

 「一生懸命やったら2つか3つのことしかできないと思いますよ。 自分の得意な分野でテンションを高く持って、最善を尽くす。学生時代というのはそういうことをするときだと思います。 (中略) いろいろなチャンスがあるからといって、他分野に手を出さないほうがいい。人生は先が長いんですから、あまり器用にならないでゆったりと構えること。そして、最優先すべきことのために上手に時間を使うことですね。そうしたらいい結果が出ますよ。

 これを読んだとき、自分の中でほどけなくなっていた紐がすっと、ほどけたような感じがしました。なるほど、と。どうやら今までの僕は、あれも頑張んなきゃ、これも頑張んなきゃ、と頑張るあまり力みすぎて空回りしちゃってたみたいでした。そして、改めて、彼女の言うようにゆったりと肩の力を抜いてみると、不思議なもので自然と自分が何を最優先すべきかということが見えてきました。だから、今は昔より身軽になった体で、そのことに向かって動きだしてみようと思っています。

本文中引用;「新鐘 60号」

7月★人との出会いについて
 地球には、引力ってありますよね。あの、ものが、地面に引っ張られるという引力。あれって、人と人の間にもあるんだなと最近思いました。ええと、どういう事かというと、人って、お互いに、同じ波長を持つ人と自然と引っ張り合ってしまうということ。例えば周りを見てみると、友達グループって、大体みんな似ていませんか?遊んでそうな人は、遊んでそうな人と。まじめそうな人は、まじめそうな人と。おしゃれな人は、おしゃれな人と。
 これはなにも、外見だけの話ではなくて、性格や、考えてることや、嗜好といった、内面だって似ています。誰だって、自分とあわない人とは疎遠になるし、あう人とは、一緒にいる時間が増えていきますものね。外見は感じが違うのに、仲のいい人というのは、この内面での引力が働いているということなんだなと思います。
 そう考えると、素敵な人と出会うには、まず自分が素敵になるのが大事なんだなと思います。そうすれば、人には、引力が働いてますから、勝手に、周りに素敵な人が集まります。また、そういう意味で、友達や、恋人って、自分の鏡なんだなとも思います。
7月1日★バイト
 この前、六本木のバイトの面接(詳しくは「東京名所案内」に。)に続いて、夏休みの間、遊園地のプールでバイトしようと思い、面接へ行ったら、一言。
 「村上君、髪切れますか?」 「切れません。」 「じゃあ、だめです。」
 いけずぅー。このバイト王のぼくを面接で落とすなんて!
 そうなんです。ぼくは、バイト王なんです。過去にしたバイトはというと、
 遊園地の係員、ホテルでウェイター、看板持ち、建設現場、家庭教師、子供用おもちゃ売り場での夏祭りのお兄さん、事務所移転、什器の搬入・搬出、宝くじ売り、ぬいぐるみに入るバイトetc...
 最近、普通ーのバイトがしたい・・・。チェーン店のカフェとかでさ。
7月5日★1999年7月到来!
 この前、友達の「久しぶり、元気?」っていうショートメールの返事で、
 「元気ダケドモウ地球ハ滅亡シチャウモンネ! テスト勉強シテモムダ!一樹」 というメールを送ったら、
 「ひと言 −きみ アホすぎー 」
 と、送り返されてきました。そんなこと言ってられるのも、今のうちだけだもんねっー!
7月24日★某法律サークルの合宿
 ぼくは大学でいくつかのサークルに所属しています。そのうちの一つが法律のサークルです。そこは、現代の諸問題を法律的観点から探るというコンセプトなんですが、そんなに硬いことは普段はそんなにやらずに、だいたい騒いで遊んでます。そこの夏合宿が7月22日から24日まであったので、ぼくも参加してきました。
 でも、さっき書いたように、一応法律サークルなのですけど、法律っぽいことは3日いたうちに数時間しかやらないで、多くの人はグラウンドでテニスばっかりしていました。で、ぼくのようなテニスをやらない人はひねもすコーヒーとかを飲みながらボケーっとして只ただ夜の飲み会が始まるのを待っているという、そんな生活を送ってきました。うん、それはそれで面白い生活でした。
 その2日目の飲み会の後、ちょっと酔った頭で外に満天の星空を眺めに行き、そういえば友達と語る約束をしていたことを思い出して早く帰んなきゃと宿に駆け込んだときでした。すごい音と体の感触で気がついたことがありました。
 開いていると思った入口にはガラスのドアがあったのでした。
 しかし、幸いなことに体に痛みはなかったので、ちょうど横にいたサークルの人に「大丈夫、ダイジョーブ」と言ったんですけど、少し遅れて額からつうっーっと血が流れてきました。ガラスによるケガはかすり傷程度でしたが、横にいたサークルの人にとっては目の前にガラスに突っ込んで額から流血しているわけですから、ものすごく心配をかけちゃいました。
9月某日★旅の話
 今年の夏は、8月の終わりから、屋久島、沖縄、台湾と全部で半月ぐらい旅してきました。やっぱり、南の島は最高でした!
   いっぱい友達ができて いろいろ連れていってもらって 言葉の通じる屋久島・沖縄ではもちろん、さすがにちょっと不安のあった台湾でも すぐに友達が出来、その日の晩には 屋台でみんなとビールを飲んで 原チャに2ケツして 80キロで飛ばしてました。
 その時の風は 言葉に出来ないほど気持ちよかったです。
台湾の女の子達に 向こうのカラオケに連れてってもらって そのあとご飯食べて プリクラ撮ってと、日本と同じように遊んでました。が、問題は台湾のカラオケにある日本語の歌は 「SAY YES]とか 「君がいるだけで」とかちょっと古い歌しかなく、しょうがないので、「どんなときも」歌っちゃいました。ちょっと旬だしね。
 そんなふうに、台湾で出来た友達にはとてもよくしてもらい、だから、今回の台湾の大地震でみんな大丈夫かどうか とても心配です。出来れば、今すぐにでも いろいろ持って台湾へ駆けつけたいぐらいです。
9月23日★沢口靖子現る!
 沖縄の台風といい、台湾の地震といい、ぼくが行ったところは全部すんごいことになってて、ぼくは疫病神かっ!って感じです。
 昨日やっとテストが終わりました。高校の中間テストのように、前の日の夜になって、やっと やんなきゃと思うんだけど、やっぱやらずに寝てしまうというおきまりのパターン。大学に入ってまでこんなことやってるとは思わなかったです。はい。
 それで、今日はテストも終わったので、早速バイトに行ってきました。しばらく行かなかったうちに、お店の様子も結構変わってたました。驚いたのは、ぼくが旅に行っている間に、沢口靖子が一日店長やりにきたんだって!びっくりだね。ちょっと見たかったな。
9月24日★くら発見!
 最近は凄いです。バイトは1日12時間働いて、しかも通勤に往復4時間。家に帰ったら眠るだけっていう生活です。そんな毎日を過ごしていると、沖縄で経験した、あのゆっくり流れる時間へ戻りたくなってきます。
 この前、家の近くのスーパーで、ぼくが沖縄の居酒屋でボトルキープしてたのと同じ泡盛の「くら」が売っているのを発見しました。すごくうれしかったです。あぁ、これで ここでも泡盛が飲めるんだなって思って。
 それは、もちろん純粋に島酒が飲めるということもうれしいんだけど、それ以上にくらを飲むことによって 沖縄で経験した あのゆっくり流れる時間というか、空気みたいなものをこっちにいるときでも味わえるんだ、と思ったからです。
 今度、沖縄のおみやげで買ってきたシーサー君達とでも飲もうかな。  
9月27日★秋の由比ガ浜
 昨日バイト終わった後、深夜に鎌倉の由比ヶ浜に飲みに行って、
 夜だから はっきりは見えない海を見て
 夜だけど はっきり聞こえる波音を聞きながら、
 バイト友達とビールを飲んでいました。
 海のにおいに全身を包まれながら 波とともに夏が帰っていくのを感じる
 そんな、秋の夜空の風は切なく。
10月某日★鴻上尚史と文学部の授業のこと
 最近文学部の授業にもぐっています。
 早稲田の演劇研究会出身で、第三舞台という劇団の脚本家・演出家の鴻上尚史という人がいるんですど、実はぼくはこの人のことが凄く好きで どのぐらい好きかというと この人に憧れて彼の出身である早稲田の法学部に来たぐらい好きなのです。
 で、今彼が後期から文学部で非常勤講師で授業やってて最近ドキドキしながらもぐりにいっています。授業はどうかというと、やっぱり凄く面白い!!指されたりもしちゃいました。これからまだ10回ぐらいあって すごく楽しみ。
 早稲田来てほんと幸せ、と思いました。
10月某日★バイトのこと
 7月の終わりぐらいから お台場のパレットタウンにあるヴィーナスフォートのとこのカフェでバイトしていたんですけど、残念ながらもうよばれなくなっちゃいました。
 正確には、元々ぼくはそこの専属のバイトじゃなくて派遣のバイトだったんですけど、大学生の夏休みも終わり、お客さんが激減したので、今度からお店が派遣をとるのは止めて専属のバイトだけでやることになった訳です。
 そこのマネージャーは、籍だけ置いとけば優先的に入れてくれると言ってくれたんですけど、しばらく働いていたら 嫌な人間関係とかも見えてきてしまったので この際すぱっとやめることにしました。
 カフェをやめた今は色々バイトやっていて試験監督とか、荷物配送の助手とか。んで、ここんとこは、麹町のイタ飯屋でウェイターやってます。
10月02日★カリスマ発見!
 ぼくは表参道にある美容室へいつも髪を切りに行っています。ただ、テレビ番組に出てしまうほどの人気サロンの為、前もって予約が必要なのです。先日も予約の電話をしたら、いつもと違い、わざわざスタイリスト本人に取り次いでくれました。どうしたんだろうと思いながら、
 「あ、すいません、カットの予約したいんですけど・・・。」
と言ったら、
 「あのー、実は、私、免許もっていなくて今、厚生省から止められているんです。
・・・・って、オイオイッ!!!あんただったのか、無免許カリスマ美容師! 内心、久々にうけまくってしまいました。
 いやー、あの人に何度も切ってもらっていたぼくは貴重な経験したとおもいます。ほんとに。無免許の美容師に髪を切ってもらったことがある人なんて、そうはいないでしょ。
 それで、今日その人に切ってもらいに行ってきたんですけど、いまは彼はアシスタントとしてやっていて、やっぱり切るのは他の人にやらせていました。それこそブラック・ジャックみたいな特別な事情でもあるのかなと思って聞いてみたところ、「面度臭くて取りに行ってなかった」だそうです。
10月某日★バイトのこと続き
 この前、もうすっかり秋になりちょっと寒くもあるそんな日に 朝から青山周辺で荷物配送の助手のバイトをしていたんだけど、曇り空の冷たくはりつめた空気の中、青山の町を眺めていたらなぜだかは分かんないんだけど、まるで尾崎豊になってしまったかのように、ふいに「この都会で頑張って生きていかなきゃいけないんだな」っていう感じというか決意みたいなものにおそわれました。東京のその風景は夏に旅してきた南の島々のそれとはまったく違い、とても冷たく灰色で 周りの人が暖かく手を差し伸べてくれるのではなく、頑張ってふんばっていないと、とても生きていけなさそうに感じたからかもしれません。
10月27日★2たび 沖縄へ。
 それにしても、本当に最近めっきり寒くて、なんだか悲しくなってきます。当たり前といえば当たり前なんでしょうが 日に日に寒くなっていこの都会はなんだか嫌になり、沖縄の青い空と青い海が恋しくなったので10月の最後の週末にまた沖縄に遊びに行ってきました。むっちゃ楽しかったです。ただ、昼からオリオンビールばっか飲んでいたので眠かったといえば眠かったですが。