台湾旅日記



 これは中国語の授業で書いた夏休みの課題のレポートに加筆・訂正を加えたもので、ぼくのこの夏の台湾への旅のさわりの部分を書いたものです。せっかく書いたものなので、ホームページにもこの度載せることにしました。

中正記念堂

 私はこの夏台湾に旅に行ったので、この夏の課題の感想文として、映画や本ではなく生で接した体験について述べようと思う。

 まず、私が行ったのは大陸ではなく台湾なのであるが、その前に屋久島、沖縄と滞在してから台湾に入った。昔から言うまでもなく我が国は中国から大きな影響を受けてきたのであるが、そのルートの一つとして、福健から台湾・沖縄ルートで入ってきたものも多々あると思われる。今回私がたどってきた道筋は、いわばそれを逆に行ったものであり、日本と台湾、そして大陸への地理的な近さというものも体で実感することが出来た。また沖縄では魔除けのシーサーなど、濃く中国文化の影響を受けたものを数多く見れた。

 さて、台湾の空港に一人で降り立ち、戸惑いながらも出国手続きをすませ、私はインフォメーション・カウンターへと向かった。そこで係の小姐(お姉さん)に緊張しながら
「ニーフイリーウェンマ?(あなたは日本語が出来ますか?)」と聞いてみたところ、
「イーデヤァー。(ちょっとなら。)」という答えが返ってきたのだ!

 私の初めての会話は成功したのである。嬉しかった。何だか語学を学ぶ楽しみの醍醐味はその一瞬にぎゅっと詰まっているような、そんな気がした。その初めての会話で自信を得た私は、空港から都市部へのバスの運転手にも
「ジェエガコンコンチーチューデゥオシャオチエン?(このバスいくら?)」と聞いてみた。
今度も通じた。んが、相手が速すぎて聞き取れない。この時は結局身振りで切符売場を教えてもらったのだが、バスを降りた後メモ帳を買うことにした。聞き取れないときに書いてもらうためだ。そしてこの後、このメモ帳は本当に役に立つことになる。

 メモ帳を買った後、とりあえずこれからのことを考えようと入った喫茶店で、私は台湾で初めての友人を作ることが出来た。メニューを出されても、それがわからない私は、とまどいながら、
「ウィオーシーリーベンレン、ウオーブーカンジェーダ…(僕日本人だから、これが読めなくて…)」
と言いかけたときに、その店の店員が、流暢な日本語で話してきたのだ。その人は李さんといい、実はその店の店長だったのだが、日本に留学していたそうなのである。私は台湾滞在中その店によく顔を出すようになり、その店で沢山の友達を作ることが出来た。その友人の中には中国語しか出来ない人も多くいるが、そこであのメモ帳を使うと、結構意思疎通ができるのである。

 今、私の手元には二冊のぼろぼろのメモ帳がある。ぼろぼろではあるが、めくるたびに思い出が鮮やかによみがえる私の大切な宝物となっている。