ホームステイ先の親父の仕事。

一ヶ月間アメリカへ勉強しに行っていたと誰かに言うと、必ず聞かれる質問のひとつが、
「ホームステイ?」
と、いうものです。

実際は、勉強していた大学の寮に寝泊りしていました。そこで、一緒に行った早稲田生35人ほどと生活していた訳です。そのため、オハヨウからオヤスミまで、割と日本語漬けの毎日を送ってきました。もちろん、一緒に暮らしていた仲間たちは楽しい奴ばかりでとても有意義な時間を過ごせたと思います。が、もし、まわりに日本人が少なく英語を使わざるを得ない状況であったら、もう少し英語の力も進歩したかもしれません。

ところで、そんな寮暮らしをしていたのですが、プログラムの一環で、一晩だけホームステイに行きました。授業のない週末だけ現地の家庭と過ごしてきた訳です。実際、その家庭の人と会うまでは、その人がどんな人か事前情報はあまり知らされないのでどきどきしながら、一体どんな人たちなのか、どんなところに連れて行ってもらえるのかと考えていました。

そして当日、リチャードという僕のホストファーザーが最初に案内してくれたのは彼の仕事場でした。実は、驚いたことに彼は映画製作者だったのです。 彼の仕事はサウンド プロデューサーと言って、撮り終わった映画に音を付ける仕事です。



例えばスタジオで撮ったシーンに、外を走る車の音とか、周りの話し声、足音、遠く聞こえるパトカーの音、雨の音といったものを貼り付けていく仕事です。彼は最近だと、ロビン・ウイリアムスとマッド・デイモンの「グッド・ウィル・ハンテイング」の音を手掛けたそうです。アメリカでも、もちろん日本でもその映画を見た場合、そこで聞こえる音は全て彼があのスタジオで付けたものなのだと思うと、少し感動してしまいました。ちなみに、この「グッド・ウィル・ハンテイング」の監督もポートランドに住んでいる人だそうです。そして、ホストファーザーが今手掛けているのは、あのショーン・コネリー主演の「FINDING FORRESTER」という映画で、その仕事振りも少し見せてもらうことが出来ました。日本で公開したら真っ先に観に行こうと思います。

彼は他にもラジオの声優だったりとか、ギターを演奏したりとか、色々な仕事をしており、何とCDまで出していて一枚もらってしまいました。

またホストファミリーの娘は、ぼくと丁度同い年だったので、二人で犬の散歩をしながら延々“恋ばな”をしたり、またホストファーザーの「日本人の中にはは韓国人が嫌いな人もいるみたいだがそれは本当か?本当ならそれは何故なのか?」といった、日本語でだって答えるのに一苦労な質問に、何とか頑張って答えたりと、色々面白い経験が出来ました。