BOYS&GIRLS CLUBS

今回のアメリカ短期留学では、3週間という短期間ということもあり、英語を学ぶということがプログラムにすえられた一番の目的であった。が、それと同時に、英語を学ぶネタとしてアメリカのカルチャーとコンピューターのスキルを習った。アメリカのカルチャーと一言で言ってもその範囲は莫大に広い。そのため、その中でも特に移民についての側面と、ボランティアについての側面に絞っていた。期間中の課外活動や映画鑑賞もその二つのことに関係することが多く、今思うと、まさに“移民”と“ボランティア”漬けの毎日だったような気がする。

その一環で、いくつかのアメリカのボランティアを見学しにいった。そのひとつがBOYS&GIRLS CLUBSであった。ここは、日本でいう学童保育所のような場所で、6歳から18歳までの子供達を対象に、放課後や長期休み期間中に遊んだり学んだり出来る場所を提供する所である。全ての希望する子供が入れるように、料金は低くなっており、そのため、政府、自治体、民間からの援助やボランティアで運営している組織となっている。



と、そんな組織の説明はともかく、子供たちと遊んできた。

楽しかった。

とにかく、かわいい。子供は世界共通、どこでもかわいい。だいたい9才前後の子が多かったのだが、そのくらいだと、普通に会話していろいろな話ができるのも楽しい。
人なつっこくてすぐ寄ってくる子もいれば、人見知りな子、全然かまわず元気に走り回っている子、おとなしく絵を描いている子もいる。


そのおとなしく絵を描いている女の子は、2日前に来たばかりと言っていた。もちろん友達は出来たと言っていたが、前からいる子と同じように元気よく遊びまわるには、まだ少し馴染めていないのだろうと思った。
そうこうしているうちに、前からそこにいる女の子達が建物の中を案内してくれると言ってくれた。みんな、それについていったが、ここでぼくもそれに付いていってしまうと、お絵描きをしている女の子が一人ぼっちになってしまって寂しいだろうなと思い、残ることにした。

こういうときに役立つネタはいっぱい持っている。ぼくはおもちゃのアヒルをカバンから取り出して一緒に絵を描いた。また、ピカチューの絵を描いて見せたり、折り紙で一緒に鶴を折ったりした。そうしていると、周りの子供たちも、なんだなんだと近づいてくる。
そうすると彼女は、ぼくの書いたアヒルやピカチユーを、得意そうに うれしそうにその子達に見せる。 このおにいちゃんが描いたんだよって、絵とぼくを指差しながら。遊びながらぼくは彼女にどの遊びが好きと聞いたら、やっぱり絵を描くことが好きだと言っていた。将来何になりたいのと聞いたら、ちょっと考えた後、アーティストと答えた。ぼくは彼女達にぼくの友達のプリクラを見せてあげた。興味深そうに見る子供たち。ぼくは彼女の描いた絵の上にぼくのプリクラを一枚貼ってあげた。彼女は頑張って、さっき教えたぼくの名前、KAZUとその上に書いて、これでいい?とぼくに見せる。それでいいんだよと言ってあげる。

そうこうしているうちに帰らなくてはいけない時間になった。せっかく仲良くなってきたのに。子供たちともっと遊びたい。話したい。でも、帰らなくてはいけない。おそらく、ここで出会った子供たちとは、絵を書いていた彼女とは、二度と会えないのだろうなと思う。ぼくは帰り際、彼女にそっと近寄って、

You must become a good artist. (君はきっと素晴らしいアーティストになれるよ。)

と彼女にささやいた。
そんな、陳腐なことしか言えなかったが、彼女が本当に有名なアーティストになって、いつかまた彼女のことを見られることを願って。