事実は小説よりも樹なり 2009・05
万葉線のアイトラムが格好イイ (2009'04'02)



万葉線のアイトラム
万葉線のアイトラム

 たまには金沢から足をのばそうと、お隣の富山県高岡市へと出かけた。お目当ては「アイトラム」。欧米の都市で見かける、近未来的な外観をした路面電車「トラム」が高岡市でも走っているのだ。

 路線名は、高岡駅前と同県射水市を結ぶ「万葉線」。2004年から新型車両を導入しており、その愛称が「アイトラム」。

 駅で待っていると、ピカピカに輝く真っ赤な車体が目の前に現れた。2両編成で、床は低くバリアフリー化されており、何だか外国っぽい。男の子だったら誰もが持っている、乗り物好きの本能が思わずうずく。

 走り出した車内のアナウンスでは、落語家・立川志の輔さんが案内する。土日祝日限定で、沿線の新湊市(現・射水市)出身である志の輔さんのアナウンスを流しているらしい。方言を交えた名所案内で、気分が盛り上がる。

 乗客数はまばらだが、ゆったりのんびり気分を味わうには、ちょうど良い。電車は40分ほどで終点に到着。駅前が港になっており、県営の無料フェリーが港の対岸と結ぶ。

フェリー  これまた乗り物好きの本能でフェリーにも乗船。わずか5分ほどで対岸に着き、すぐに同じフェリーで戻る。たとえ短い距離でも、船に乗るとちょっとした「旅」の気分だ。

 路面電車の「万葉線」の名前は、かつて大伴家持がこの地で「万葉集」の編集を始め、数多くの歌を残したことにちなんでいるという。奈良時代の歌の舞台の地を、未来から来たような赤い車体がゆっくり走っていく。