金沢市役所のすぐ隣、兼六園や金沢城公園からもほど近い場所に、上から見ると円形をした大きな建物がある。「金沢２１世紀美術館」。２００４年にできた現代美術館で、現代アートの作品が並ぶ。

　この美術館が断然おもしろい。金沢を訪れる人に「おすすめスポットは？」と問われたら、若い人だったら兼六園ではなく、迷わずこっちを教える。

　例えば上の写真の「レアンドロのプール」。プールと見えるが、ガラスに水を張っており、水面の下からも人が見学できる。上から見る子どもに対して、下から泳ぐマネして、喜ばすことなんかができるのだ。

　個人的なお気に入りは「タレルの部屋」＝写真。館内の部屋にはいると、この時期だと空気が冷たい。がらんとした白い部屋の天井には四角があり、よく見ると穴が開いて空が広がっている。

　青空の日や曇りの日、満月や星の輝く夜。空が作品の一部となって、違った移ろいを見せる。部屋の壁に設けられたイスに座って、ぼうっと眺める。何とも言えない静かな気持ちになる。

　雨の日には、部屋の中なのに雨が降りそそぐ。雪の日には、降った雪が床については、消えていく。天井の一部となった空の下、静寂に包まれたくて、何度も足を運んでしまう。