消防職員や消防団員らがはしごの上でポーズを決める「はしご登り」。東京育ちの身として「火消し」いえば江戸のイメージがあるが、ここ金沢の「加賀とび」のはしご登りも古い伝統がある。
加賀藩では江戸時代、江戸藩邸の防備のため、お抱えの火消し「加賀とび」を組織していた。はしご登りを最初に行ったのがこの加賀とびで、いわゆる日本のはしご登りの元祖という。
1月11日。金沢の新春を飾る、毎年恒例の「金沢市消防出初め式」が金沢城公園であり、足を運んだ。粉雪が舞う中、金沢城の復元されたやぐらを背景に開かれ、なかなか情緒がある。
高さ6?のはしごが47本立ち並び、法被にねじり鉢巻きの消防団員が、先端で次々にポーズを決める。一本の竹の先端一カ所で身体全体を支えてエビぞりになったり、逆さにぶら下がったり。
技は「一本背亀」や「鶯の谷渡り」など名前が付けられ、全部で20種類以上。威勢良い掛け声とともに、10分ほどで次々と演技を決めていく。屋内のステージで、はしご一本だけの演技を見たこともあったが、やはり外で47本並んで行われると圧巻だ。
最後は、寒空の下にもかかわらず、消防隊員が下帯一つの裸同然の姿となり、49の消防団が一斉に空に向かって放水。水柱が天高く上がり、一面真っ白になる光景は迫力満点。
考えてみると、東京に住んでいても「消防出初め式」に行ったことは一度もなかった。冬空の下で見る勇ましい演技と伝統の技。確かに見応えがあった。