事実は小説よりも樹なり 2009・01
雪の兼六園で年始め (2009'01'05)



雪が積もった2009年元日の兼六園
雪が積もった2009年元日の兼六園

 印象に残っている正月といえば、どの年だろう。ハワイ留学中は、観光客が集まったワイキキビーチでぼーっと海を眺めていた。東京では、年をまたいで明治神宮に初詣に行き、帰りに寄った歌舞伎町で新年早々ぼったくられた時もあった。

 ことしは金沢に住んで二度目の新春。大晦日から降り続いた雪で、街は白銀の世界。ふと思い立って兼六園に足を運んだ。

 日本三名園の一つで、国の特別名勝。金沢の中でも代表的な観光名所だ。「金沢といえばここ」といった象徴的な場所で、元日を過ごすのも良いじゃないか。

 園内に入ると、驚くほど観光客でいっぱい。日本人だけでなく、中国人や欧米人もいる。旅行ツアーの小旗を持ったガイドの後に、ぞろぞろと続く見学者。耳を傾けると、ガイドのおばちゃんの説明が面白い。

 「兼六園にはイケは四つある。このイケは一番大きな霞が池。ことしはそれイケ、やれイケ」。毎回言っているんだろうけれども、軽妙な語り口に、つい笑いを誘われる。

 「イケにはコイがいるが、コイは見るもんじゃない。するもんだよ」。なるほど。「兼六園にはイケは四つある。では、次はあっちへイケ」と、別の見どころへと案内していった。

 園内の松には、北陸特有の重い雪から枝折りを防ぐため、円すい型の「雪つり」が施されている。正直、寒くてどんよりとした北陸の天気は好きではないけど、観光客に混じって日本庭園を眺めて旅行気分を味わうのも、まあ有りかな。

 2009年。年末にはついに30歳の大台を迎えます。20代最後の年、そんなこんなで、幕開けました。